バセドウ病とは?
症状・原因・検査をやさしく解説
バセドウ病は、首にある「甲状腺(こうじょうせん)」が、はたらきすぎてしまう病気です。 このページでは、バセドウ病で体に何が起きるのか(どうなる)、なぜそうなるのか(理由)を、できるだけやさしい言葉で説明します。
Web上に公開されている情報をもとに作成しております。万が一、間違いがあればご指摘いただけると幸いです。
作成日: 2026年9月19日
バセドウ病とは
どうなる体の新陳代謝(体の中の化学反応が進む速さ)を活発にする「甲状腺ホルモン」が、必要以上にたくさん出てしまう病気です。
たとえ体がずっとアクセルを踏みっぱなしのような状態、と考えるとイメージしやすくなります。
理由甲状腺は、首の前、のどぼとけの下にある臓器で、甲状腺ホルモンを作っています。本来、甲状腺にホルモンを作るよう促すのは、脳のすぐ下にある下垂体から出る「TSH(ティーエスエイチ)」というホルモンです。
理由バセドウ病では、体を守るしくみ(免疫)が、間違って自分の体に向かって働いてしまう「自己免疫」が起こります。その結果、TSHを受け取る場所(TSH受容体)に対する「TRAb(ティーアールエービー)」という「抗体」(免疫が作る物質)が作られ、これが甲状腺を刺激し続けるため、ホルモンが作られすぎてしまいます。
たとえ本来はTSHが押すはずのスイッチを、TRAbが代わりに押し続けているようなものです。
補足若い女性に多い病気です。 男性や子どもがかかることもあります。
補足バセドウ病の人が、治療中に甲状腺の働きが次第に低下し、橋本病と診断されることがあるとされています。また逆に、橋本病と診断されていた人が、甲状腺の働きが高まってバセドウ病と診断されることもあるとされています。
バセドウ病の症状
どうなる次のような変化が出ることがあります。
- 首の腫れ(甲状腺腫)— 首の前側、のどぼとけの下あたりが、多くの場合、全体的にはれる(はれが目立たない人や、はれをほとんど認めない人もいます)
- 動悸 — 心臓がドキドキする
- 脈が速くなる(頻脈)
- 眼球突出 — 目が前に出てくる
- 汗をかきやすい
- 暑がりになる
- 体重が減る
- 食欲が増える
- 下痢や軟便になる
- 手や指がふるえる
- 疲れやすい
- いらいらして、落ち着かない
- 眠りにくい(睡眠障害)
理由甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を高めるホルモンなので、たくさん出ると、新陳代謝が高くなりすぎて、汗をかきやすい、暑がりになる、体重が減る、食欲が増える、などの変化が起こります。目の症状のしくみは、あとの「目の症状」で説明します。
補足このうち、首の腫れ(甲状腺腫)・眼球突出・脈が速くなること(頻脈)の3つは、代表的な症状(三徴)とされていますが、3つとも現れる人もいれば、そうでない人もいます。
補足症状の現れ方は個人差が大きく、年代によっても違います。甲状腺のはれは若い人に目立ち、体重減少は高齢の人に多く、若い人では逆に食欲が増えて体重が増える人が多いようです。
バセドウ病の目の症状(バセドウ病眼症)
どうなる目が前に出てくるほか、次のような変化が出ることがあります。まぶたや白目のはれ・赤み、涙が出やすくなる、など。炎症が強いときには、目の痛みが出ることがあります。ものが二重に見えることもあります。
理由目を動かす筋肉やまぶたを動かす筋肉、目のまわりの組織に、炎症(はれや痛みが起こる反応)や、脂肪が増えるなどの変化が起こることが関係しています。
補足目の症状は、バセドウ病の特徴的な症状のひとつとされています。もちろん、このような症状が出ない方もいます。
バセドウ病の原因
どうなるなぜ、体を守るしくみ(免疫)が間違いを起こして、TRAbという抗体が作られるのか、その原因は分かっていません。
考えられていることバセドウ病になりやすい体質の人が、何らかのウイルス感染や強いストレスをきっかけとして起こるのではないか、と考えられています。
補足なりやすい体質は遺伝すると考えられていますが、そこに、まわりの環境の影響が加わって初めて発病すると考えられています。
バセドウ病の検査で分かること
どうなる診断のために、症状の確認、血液検査、場合によってアイソトープ検査を行います。あわせて、超音波検査も行います。
- 血液検査 — 甲状腺ホルモン(FreeT3・FreeT4)の上昇、TSHの低値、TRAbの高値などが認められます。ただし、TRAbが高くならない場合や、FreeT3・FreeT4のどちらか一方だけが高い場合もあります。
- 超音波検査 — 甲状腺の大きさや、しこりの有無を確認します。
- アイソトープ検査 — 放射性ヨウ素などが甲状腺に取り込まれる性質を利用します。バセドウ病のように、甲状腺でホルモンが多く作られている場合は、取り込み率が高くなることがあります。血液検査のTRAbが、基準値の範囲内か、基準値より少し高いくらいのときなどは、この検査もあわせて行い、診断を確定します。
理由体の中では、脳のすぐ下にある下垂体から出るTSHの合図を受けて、甲状腺が甲状腺ホルモンを作っています。血液の中の甲状腺ホルモンが多くなると、下垂体は合図(TSH)を減らして、作られる量を調整します。バセドウ病では、TRAbが合図の代わりに甲状腺を刺激し続けるため、ホルモンが多く作られ続けます。その結果、血液の中ではたらく甲状腺ホルモン(FreeT3・FreeT4)は高いことが多く、下垂体からの合図であるTSHは少なくなります。
- TSH — 脳のすぐ下にある下垂体から甲状腺へ「ホルモンを作って」と伝える合図
- FreeT3・FreeT4 — 甲状腺ホルモンのうち、血液の中で実際にホルモンとしてはたらいているもの
- TRAb(TSHレセプター抗体) — 甲状腺のスイッチ(TSH受容体=レセプター)に結びつく抗体
補足甲状腺ホルモンの検査(TSH・FreeT4・FreeT3)は、人間ドックのオプション検査として用意している施設があります。 結果が出るまでの時間は、検査する場所や項目によって違います。甲状腺に関連する検査を院内で行っているクリニックでは、約45分で結果を知らせている例もあります(採血の時間帯や項目によっては、後日になります)。 それぞれの項目の基準値は記録できる項目のページをご覧ください。
バセドウ病と、グレーブス病・甲状腺機能亢進症のちがい
どうなるバセドウ病は、英国やアメリカなどでは「グレーブス病」とも呼ばれます。
理由この病気を研究して発表した、ドイツの医師バセドウ博士の名前にちなんで、日本では「バセドウ病」と呼ばれます。英国やアメリカでは、同じころに発表したグレーブス博士の名前にちなんだ呼び名になっています。
補足「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」は、甲状腺ホルモンが多く作られる状態を指す言葉で、バセドウ病は、その代表的な病気です。
用語かんたん解説
- 甲状腺(こうじょうせん)
- 首の前、のどぼとけの下にある臓器。甲状腺ホルモンを作っています。
- 甲状腺ホルモン
- 甲状腺が作るホルモン。熱をつくり、体の新陳代謝を活発にします。
- 下垂体(かすいたい)
- 脳のすぐ下にあり、TSHを出すところ。
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)
- 脳のすぐ下にある下垂体から出て、甲状腺に「ホルモンを作って」と伝える合図となるホルモン。
- FreeT3・FreeT4(FT3・FT4とも書きます)
- 甲状腺ホルモンのうち、血液の中で実際にホルモンとしてはたらいているものを、血液の検査で調べるときの項目名。
- TRAb(TSHレセプター抗体)
- 甲状腺のスイッチ(TSH受容体)に結びつく抗体。バセドウ病では、これが甲状腺を刺激し続けます。血液検査で調べます。
- 自己免疫・自己抗体
- ウイルスなどから体を守るしくみ(免疫)が、自分の体を攻撃してしまうこと。そのとき作られる、自分の体に対する抗体を「自己抗体」といいます。バセドウ病のTRAbは、甲状腺を刺激する自己抗体です。
- 甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)
- 甲状腺がはれている状態のこと。
- 眼球突出(がんきゅうとっしゅつ)
- 目が前に出てくること。
- 甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
- 甲状腺ホルモンが多く作られる状態のこと。バセドウ病は、その代表的な病気です。
- 寛解(かんかい)
- 薬での治療で、最少量の薬で甲状腺の機能が正常で、TRAbなどの値も正常であり、医師の判断で薬を一旦やめることが考慮される状態。ただし、「完治」というわけではなく、その後も再発することがあります。
- 再発(さいはつ)
- いったん落ち着いていたバセドウ病が、再び進行して、甲状腺ホルモンが上がってくること。
- グレーブス病
- バセドウ病の、英国・アメリカなどでの呼び名。
- アイソトープ検査
- 放射性ヨウ素などが甲状腺に取り込まれる性質を利用して調べる検査。
- 超音波検査
- 甲状腺の大きさや、しこりの有無を確認する検査。
- 抗甲状腺薬(こうこうじょうせんやく)
- 甲状腺ホルモンが作られるのをおさえる薬。
バセドウ病の治療について
どうなるバセドウ病の治療には、大きく分けて3つの方法があります。
- 薬 — 甲状腺ホルモンが作られるのをおさえる薬(抗甲状腺薬)を飲む方法
- アイソトープ(放射性ヨウ素) — 甲状腺に集まる性質のある放射性ヨウ素を使い、放射線のはたらきで甲状腺の細胞をへらして、ホルモンが作られる量をへらす方法
- 手術 — ホルモンを多く出している甲状腺の組織を、手術でとる方法
理由バセドウ病では、甲状腺ホルモンが作られすぎています。
補足どの方法が合うかは、病状や年齢、社会的な状況などによって、人によって違います。
よくある質問
- バセドウ病は自己免疫疾患ですか?
- どうなるはい、バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。理由体を守るしくみ(免疫)が、自分の体に対する抗体(自己抗体)を作ってしまい、その抗体(TRAb)が甲状腺を刺激し続けることで起こるためです。補足くわしくは、上の「バセドウ病とは」をご覧ください。
- バセドウ病は遺伝しますか?
- どうなるなりやすい体質は遺伝すると考えられていますが、必ず発病するわけではありません。理由そこに、まわりの環境の影響が加わって初めて発病すると考えられているためです。
- バセドウ病は完治しますか?
- どうなる薬での治療では、薬を飲む期間は、最短で2年程度はかかり、それよりも長くかかる場合もあります。薬の量を調整しながら、飲み続けます。最少量の薬で甲状腺の機能が正常で、TRAbなどの値も正常であれば、医師の判断で、薬を一旦やめることが考慮されます。この状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。ただし、「完治」というわけではなく、その後も再発することがあります。補足治療後の経過は、どの治療法を選ぶかや、個人差が大きく、一概には言えません。
- バセドウ病のとき、運動はしてもいいですか?
- どうなる運動してよいか、いつから始めてよいかは、体の状態(甲状腺の機能が高い状態が続いているか、治療で正常になっているか)によって変わります。
バセドウ病を公表している方々
バセドウ病を公表している方の体験談を紹介します。掲載は、本人のインタビュー・体験談に基づくものです。
- 宮村優子(声優)— 2006年にバセドウ病と診断されたこと、動悸・痩せてきたこと・眼球突出について、自身の体験談として語っています。
- 蔦谷里華(モデル・女優)— 10代でバセドウ病を発症し、目の症状(甲状腺眼症)による見た目の変化について、体験談として語っています。
関連書籍・マンガ
バセドウ病に関する漫画やコミックエッセイの紹介です。書名・著者・掲載元は、各リンク先の掲載に基づきます。
出典・参考文献
引用元は、本ページの内容を保証するものではありません。
- 日本内分泌学会「バセドウ病」 j-endo.jp
- 伊藤病院グループ「バセドウ病」 ito-hospital-group.jp
- 長崎甲状腺クリニック「バセドウ病/甲状腺機能亢進症」 nagasaki-clinic.com
- MSDマニュアル家庭版「甲状腺機能亢進症」 msdmanuals.com
- 日本眼科学会「甲状腺眼症」 nichigan.or.jp
- 野口病院「バセドウ病眼症」 noguchi-med.or.jp
- 隈病院 甲状腺ナビ「甲状腺疾患の遺伝について」 thyroid-navi.kuma-h.or.jp
- 長崎甲状腺クリニック「甲状腺の基本(甲状腺ホルモンの合成・調節)」 nagasaki-clinic.com
- くどう甲状腺クリニック「よくあるご質問」 akashi-koujousen.jp
- 徳洲会グループ「甲状腺検査」(オプション検査として掲載) tokushukai.or.jp
- 日刊ゲンダイDIGITAL「独白 愉快な“病人”たち」宮村優子さん(2024年10月28日公開) nikkan-gendai.com
- 甲状腺眼症.jp「知ってほしい、甲状腺眼症の私がみた世界 〜蔦谷里華さんの場合〜」(サイト下部の著作権表示は Amgen Inc.) kojosen-gansho.jp
- 隈病院 甲状腺ナビ「バセドウ病」 thyroid-navi.kuma-h.or.jp
- 野口病院「バセドウ病」 noguchi-med.or.jp
- 日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024(バセドウ病の診断ガイドライン)」 japanthyroid.jp
- 隈病院 甲状腺ナビ「【隈病院 専門医監修】バセドウ病と橋本病の関係を解説|移行の仕組みと共通の体質とは」(2026年2月27日公開) thyroid-navi.kuma-h.or.jp
ishiteraでできること
バセドウ病の血液検査値・体重・AHIを記録して、経過をグラフで振り返りたい方は、ishiteraの記録機能もあわせてご利用ください。